「KOTOBUKIクリエイティブアクション」は、様々なかたちで文化芸術に携わるアーティストやクリエイターが日本三大ドヤ(簡易宿泊所)街のひとつである横浜・寿町エリアを舞台として活動する試みです。
住人の高齢化が進み、ドヤの空き室が目立ちはじめた町に独創的な視点を持ち込み、地域住人と協働しながら様々なアート活動を展開することで、町の新たな可能性を生み出すことを目指しています。ひとつの展覧会やイベントとして一斉に実施されるものではなく、年間を通して随時行なわれているプロジェクトのひとつひとつ、そしてその集積が「KOTOBUKIクリエイティブアクション」です。


事務局(寿オルタナティブ・ネットワーク)
住所:〒231-0025 横浜市中区松影町2-5-2 南雲ビル304号
Tel:050-1553-2903
E-mail:info@creativeaction.jp

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■実施概要(2008)

初年度の活動は、アーティストの活動に引っ張られるようにしてはじまった。事務局としては拠点も持たないうちに川崎昌平がドヤで滞在制作をはじめ、遠藤一郎らによる「未来カフェ」を足がかりにして多くのアーティストが寿町へ訪れるなど、作品の発表・発信方法が手探りの段階で既にいく つものプロジェクトが立ち上がっていった。浦田琴恵や松下徹など常設型の作品制作が進み、同時期に開催されていた「横浜トリエンナーレ2008」出品作品である大巻伸嗣のパフォーマンス誘致が決まったことで、コア期 間を設けて活動公開を行うことが決定した。これに合わせて仮設型の作品も計画された。
川崎の滞在制作など形にはなっていないもの、パラモデルのワークショップなど単発で既に終了しているものがあり、またマップを配布して自由に見て回る方式では来訪者と住人とのトラブルが懸念されたため、活動公開にあたっては大巻のパフォーマンスを除いて完全予約制のツアーのみで行った。告知活動をあえて狭めたにも関わらず、口コミにより多くの美術関係者がツアーに参加し、好評を得た。なお、プロジェクトマップはツアー参加者への資料配布、コア期間終了後の活動周知を行うために制作したものである


〈主な活動〉
・スタジオの開設および運営
・「未来カフェ」の実施
・コア期間および期間中のツアーを実施
・「横浜トリエンナーレ2008」との連携
・プロジェクトマップの制作
・ウェブサイトの立ち上げ
〈コア期間〉2008年11月8日(土)~18日(火)

助成:横浜市先駆的芸術活動助成、平成20年度アーティストを支援するための助成



■実施概要(2009)

1年目の成果をふまえ、2年目からはアーティスト以外にも多くの方が活動に参加するようになった。また、活動へ興味を持つ方や団体からのツアー、視察、講演の依頼が相次ぐ状況の中で、活動やプラットフォームのあり方を検討することとなった。
個々のプロジェクトの自由度を高めるために通年展開を前提とし、ツアーについても複数人が企画運営に関わる方式へ移行。ホステルを活用した「PortoGallery」を開設しスタジオの追加整備を行うなど、足がかりとなる拠点も増やした。また、活動の全容を簡潔に紹介するリーフレット、2-3ヶ月ごとに活動レポートやイベント告知を掲載するニュースレターの制作を行い全国規模で配布するなど、メディアを活用した発信活動へ重点的に取り組んだ。
また、神奈川大学曽我部研究室が主体となり、建築デザインのアプローチからまちづくりに取り組む「寿作戦」が本格的にはじまる、寿町だけではなく横浜創造界隈エリア一帯を巻き込む「YokohamaCreativeMap」が立ち上がるなど、活動が一気に広がりを見せた年である。


〈主な活動〉
・「YokohamaCreativeMap」の立ち上げ
・スタジオの追加整備
・「寿作戦」開始
・「PortoGallery」の立ち上げ
・シンボル、ロゴイメージの制作
・活動紹介リーフレットの制作
・ニュースレターの発行開始
・「スターティングトーク」の開催
・通年展開とツアーのメニュー化
・「ヨコハマ国際映像祭」との連携
・プロジェクト冊子の制作(浦田琴恵、川崎昌平)

助成:財団法人文化・芸術による福武地域振興財団、メセナ種まき基金、横浜市先駆的芸術活動助成、平成21年度アーティスト支援プログラム助成



■実施概要(2010)

活動も3年目となると、アーティスト、事務局スタッフ共に地域と正面から向き合い、活動を継続して行くために何をしていくべきか、ということをより真剣に考えるようになる。アーティストの浦田琴恵は、継続的にまちに関わる立場を模索する中で、同世代のアーティストらと共に企画から主体的に活動へ取り組む「寿合宿」を立ち上げた。「寿作戦」においても、長期的な視点で調査事業に力を入れた活動を行ったり、まちづくり拠点の計画を行ったりしている。事務局側では、アーティストが関わりながらも新たな地域行事の性質を強くする「寿灯祭」を立ち上げ、これまでにない地域との協働スタイルを生みだしつつある。また活動に関わる人との適当な情報共有と円滑なコミュニケーション機会の創出を狙ってSNSを運営している。
年度末にかけては、これまでの活動をとりまとめた記録集(本書)の制作に取り組むと共に、その発行に合わせて体験型プログラム、事例紹介レクチャーなどをとりまとめたフォーラムを計画。活動のさらなる展開へと向けて邁進している。


〈主な活動〉
・「寿合宿」開始
・「寿灯祭」実施
・SNS「ProjectSite」の立ち上げ
・「寿お泊まりフォーラム」の実施(準備)
・記録集の制作(準備)

共催:公益財団法人横浜市芸術文化振興
財団「コミュニティ+アート」(寿灯祭)

助成:財団法人文化・芸術による福武地域振興財団、横浜における創造活動助成、ハウジングアンドコミュニティ財団「住まい・まちづくり担い手事業」(寿作戦)


「KOTOBUKIクリエイティブアクション」という活動は、個々のプロジェクトの集積イメージであることもあり、全体としてきちんとしたディレクションがされていたり、組織的に運営が行われていたりするわけではない。事務局(寿オルタナティブ・ネットワーク)、アーティスト・クリエイターらはそれぞれに、またはプロジェクトチームを編成して、地域住民と関わりながら個々のプロジェクトに取り組み、活動発信を行っている。事務局は、加えて最低限のとりまとめ役として、また個々の活動サポートを行う立場として存在している。
事務局スタッフに名を連ねる人の多くが、担当する専門領域で普段は仕事を持つプロボランティア、もしくは学生(ないしそれに準じる立場)である。寿町での活動を通して、仕事(研究)上でも参考になる経験を得ることができる、という動機から活動に関わっていることがほとんどである。また参加アーティストらも同様に、普段の創作とは異なるスタンスで活動に取り組んでいることも多い。また、まちや他の活動への興味からか、自らのプロジェクトとは別に、立場を変えて他のプロジェクトへ参加する方も多い。例えばアーティストが他のアーティストのプロジェクトや地域行事に参加することがある。かつてのツアーやイベントの参加者が、アーティストのサポートを名乗り出ることも多い。関わる人の「やりたい」気持ちを大事にしながら、それぞれのプロジェクトは寿というまちに出入りする人々に相互に支えられているのである。


〈コアスタッフ〉
代表 佐藤真理子(寿地区自治会事務局長)
総合プロデューサー 河本一満(公務員)
プロジェクトディレクター 曽我部昌史(建築家)
橋本誠(アートプロデューサー)
プロジェクトマネージャー 小栗諒(公務員)
鹿島裕太(学生)
介川貴晶(フリーランス)
丸山美紀(建築家)
三宅智子(公務員)
若林南美(学生)
リサーチャー 山本薫子(社会学者)

東京の山谷、大阪の釜ケ崎(あいりん地区)と並んで俗に「日本三大ドヤ街」と呼ばれています。寿町は1955年(昭和30年)代以降に形成された比較的新しいドヤ街(簡易宿泊所が集積するまち)です。


日雇い労働者が多く宿泊し栄えていましたが、労働の需要が減少するのに伴い人口が減少、近年では高齢者や生活保護受給者の方々が多く住む福祉のまちへと姿を変えつつあります。


JR根岸線石川町駅徒歩7分、関内駅徒歩10分に位置し、近くには中華街や元町商店街などがあります。


広域地図 寿町のエリアマップ